生地屋のQ&A

布生地のプロフェッショナルが わかりやすく解説してます。

銘仙とは (メイセン)

銘仙とは(メイセン)、経糸(タテイト) 緯糸(ヨコイト)とも、精錬した玉糸の諸撚り糸(モロヨリイト) または片撚り糸、あるいは絹紡糸(ケンボウシ)を用いて、平織りに織った練絹織物(ネリキヌオリモノ)です。

柄は縞 絣(カスリ) または、経糸捺染(タテイトナセン)による解し模様もあります。解し模様では 柄の境界がぼけるような 柔らかい見栄えとなり、大正から昭和の初期にかけて大流行し、全国に広まりました。
(締切絣(シメキリカスリ)、捺染絣(ナッセンカスリ)なども あるようです)

女性の普段着 お洒落着のような実用着物として、第二次世界大戦前まで 広く使われてましたが、最近は少なくなってきています。

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銘仙とは (メイセン)

生糸とは(キイト ナマイト) 生絹(キギヌ) ローシルクとは(raw silk)

キイトとナマイト 両方読めますが、意味が違います。

生糸(キイト)とは (raw silk)
一般に言う絹糸の事で「かいこ」の繭を70℃ほどのお湯に浸け ほどいて繰り取った糸のことです。絹糸本体のフィブロインを セリシンが覆っています。生絹とかローシルク(raw silk)とも呼ばれます。

生糸のまま織って、通常染め加工前の精錬(セイレン 練り)で セリシンを除去して、普通の絹織物になります。セリシンを除去して 初めて硬い生機(キバタ)から、絹鳴りのする柔らかい絹織物になります。生絹織物(キギヌオリモノ)とか後練織物(アトネリオリモノ)と呼ばれます。

目を粗く織って、わざと精錬しないで 細かい網の目状に仕上げた 硬いオーガンジーのような織物もあります。また 生糸のまま製品にして、厚みのあるつるつるしない 使えば使うほど柔らかくなる製品もあるようです。
生糸の靴下

(生糸の製品は 混率上はシルク100%ですが、くずなどが混入しており 実成分上はシルク100%では ないようです)

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生糸とは(キイト ナマイト) 生絹(キギヌ) ローシルクとは(raw silk)

中形染とは(チュウガタゾメ) 中型染とは 中形

中形染とは(中型染とも書く)、元々中型紙(鯨尺3寸7分~7寸5分 1鯨尺=3.785cm、大型紙 小型紙の比較から中型と言われた)によって染めた柄の名称ですが、現在は型紙の大きさに 関係なくなっています。

おもに夏用の木綿ゆかたに用いられたので、ゆかたの別名ともなりました。染め方は 下記(株)竺仙さんの説明が分かり易いです。
長板中形(ナガイタチュウケイ)

染法は長板捺染板,約9m)に敷きのり(糊)をして生地をはりつけ、型紙を置いて防染のりをおき、表型付が終わると生地をはがし、長板の反対面に裏返し てはり、型紙を裏返して裏型付を行います。型付を終わって乾燥した生地に豆汁(ごじる 大豆をすりつぶした乳白色の液)を引き、藍瓶(あいがめ)に数回つけ て染め上げます。(ここでは 藍染を例に挙げてますが、他の染料でも可)

大変面倒ですが、両側から 防染の糊付けを行わないと、柄がくっきり出なかったり 表裏が出来たりします。また 型紙の表裏を 張り替えるときに、柄がずれると 不鮮明な柄になったりします。

絵画的な図柄が多く、地染に模様を白く染め抜いたものと、地白に色模様を染め出したものの2種があります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

「即購入可の防炎加工済みの布はありますか?」

弊店の布生地をお買い上げになったお客様から、下記のような お問い合わせがありました。

Q.「舞台装置などに使用する際、防炎加工が必要な場合があります。納期1週間くらいで 加工されてらっしゃいますか? もしも即購入可能の防炎加工済みの布があれば 大変助かるのですが。」

A.防炎加工済みの布生地は 弊店では販売しておりませんが、(46~50m程度)単位でしたら 弊店販売の布生地なら 加工可能です。納期も一週間程度になります。

(素性のわからない お客様持込の布生地の防炎加工は、ご容赦くださいませ。お金をいただいて 加工するので、生地にダメージを与えてもダメですし、防炎性能もきちんと保証されないとダメです。ご理解いただけませんでしょうか?)

加工賃は生地代の他に、1反の場合は15,750円 2反以上の場合は@263円/mかかります。詳しくは 下記をご参照くださいませ。
防炎加工はできるの

(余談ですが、防炎加工とは 燃え広がるのに時間がかかると言う意味です。燃えないわけでも耐熱性が高いわけでも ありません。

劇場など多くの人が集まる場所で、お客様が逃げる時間を 稼ぐためにする加工です。火事で燃えないものなど ありません。耐火金庫でさえ2時間程度 耐えられるだけです)

注染とは(チュウセン) 板締め防染とは(イタジメボウセン)

注染とは、型紙を用いて防染糊(のり)をつけた布を重ね、染料を注いで下から吸い取って染める技法です。染める部分に土手を作り、その土手の内側に染料を注いで布を染めます。そのため 次の様な利点があります。

  • 一度に多色を使って染めることができる
  • 染料は布の下側に抜けるため、布の芯まで染まり、裏表なく柄が鮮やかで色褪せしにくいことが特徴

防染(ボウセン)方法の一つです。主に、手ぬぐいや浴衣などを染めるのに使われます。「注いで染める」ので、注染と言われるようです。

JIKAN STYLEさんの 動画がわかりやすいです。

板締め防染とは、注染の一種で 凹凸が合うように模様を彫った2枚の板の間に 織物を挟みこみ、強く締め付けて 染料を注ぎ込みます。凸の部分には 染料が入らず、凹の部分だけ染まります。下記のページがわかりやすいです。

板締め絞り

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

解し織りとは(ホグシオリ) 経糸捺染とは(タテイトナセン ワープ・プリント warp print) 経絣(タテカスリ) 再織り(サイオリ)

解し織りとは、経糸捺染(タテイトナセン)とも言い、絣(カスリ 経絣(タテカスリ))の一種です。経糸の模様が 細かくかすれて上品な感じになります。次のようにして 作ります。

  1. 経糸に捺染するために ごく粗い間隔で 緯糸を織り込みます(経糸がバラバラにならない程度に。仮織(カリオリ)とも言います)。
  2. これに 模様を捺染(プリント)します。
  3. 再び織機にかけ、仮織した緯糸を抜きながら 正規の緯糸を正規の密度で 打ち込んで織り上げます。

3.のように 再び織るので、再織りとも 言います。写真付きの 工程が下記にあります。
ほぐし織りの工程

有名な銘仙(メイセン)に この方法が良く使われます。下記写真は 「足利銘仙プロジェクト」より 拝借しています。

銘仙の布生地

銘仙の布生地

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリプロビレン繊維とは (polypropylene)

ポリプロビレン繊維とは、プロピレン重合させた熱可塑性樹脂から作った繊維です。強度も強く 吸湿性もなく耐薬品性(酸 アルカリを含む)にも優れています。

染色性が悪く、耐光性も低いため ファッション衣料には 向いていません。ニードル・パンチなどでカーペットなどに使われる時には 樹脂の段階で顔料を入れた 原着繊維(染まった糸)が使われます。

ウィッキング性毛細管現象により水分を運搬する能力)に 優れているので、汗を蒸発させる肌着や靴下 Tシャツなどに使われてます。(汗をかいても あまりベタつかない。ただ あまり店頭では、私は見かけた事が ありません)

汎用樹脂の中では、最高の耐熱性で、比重も最も小さく水に浮かぶ 数少ない繊維です。
(衣服などは 空気を含んでいるので 一見水に浮かぶように見えますが、ポリエステルナイロン自体は 水に浮かびません。汎用樹脂の中で 最高の耐熱性と言っても、コットン(綿)などに比べると はるかに熱に弱いです)

化学式は 下記になります。樹脂の性質等 詳しくは次をクリックしてください。 ポリプロピレン
(CHCH3CH2)n

原料樹脂(ポリマー)の価格は ポリエステルより少し安い(このブログを執筆時点(2013.09.24)で5%程度)のですが、紡糸設備等の投資コストが ポリエステル等は安いので あまり優位性はなくなってます。

ポリエステルやナイロンは 20年以上の開発の歴史があり、細さ、光沢、断面に改良が加えられ、抗菌、UVカット、吸湿、深染、芳香、ビタミンなどの機能が 付与されていて、圧倒的に優位になってます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。